audio-sound Score
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:8.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
基本スペック
- 周波数特性:20Hz-39.5kHz
- インピーダンス:10Ω±15%
- 感度:117±3dB
- コネクタ:凹型 0.75mm 2pin
パッケージ
パッケージは価格帯の標準を満たしています。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーピース
- キャリングケース
- 説明書など
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感
装着感は良好です。
音質
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
QKZ x HBB KhanはU字型のサウンドシグネチャーを持っています。
低域
QKZ x HBB Khanの低域はかなりの重みが感じられますが、深さは少し物足りません。
ドラムキックは重さをかなり感じ、インパクトはあるものの、ランブルが不足しており、臨場感に欠け、私には浅く聞こえます。
エレキベースも黒さは悪くないものの、沈み込みで不足しており、広がりに欠け、音楽のコントラストには少し不足を感じます。
低域の量はかなり強調されているものの、質的にはほとんど見るべきところのない低域です。低域好きを一定程度は満足させるかもしれませんが、本当の重低域マニアを満足させることはないでしょう。そして低域をあまり好まない人には適正音量以上ではおそらく量が多すぎます。
中域
QKZ x HBB Khanの中域はニュートラルを意識して調整されているようですが、質感の正確性はそれなりです。透明度や解像度は決して悪くはないですが、暗い位置で聞こえ、ボーカルや楽器音に脚色が少し強めに加えられます。少なくともみずみずしい感じはありません。
全体的に音が柔らかく、ギターエッジだけが妙に艶やかに目立ったり、女声ボーカルが息遣いや子音重視でやや上気して色気を強調して聞こえる調整になっており、オーディオマニア向けというよりはコンシューマーライクなサウンドになっています。
ボーカルはドライでガサガサしており、若干活舌も悪く、なんだか風邪でも引いたように、鼻にかかった感じがあり、喉の調子も悪そうに聞こえます。スネアはソリッド感がなく、あまりボディが良く聞こえず、躍動感に欠けます。フォーカス感も悪く、聞いていてあくびが出るほどつまらない中域です。
直線性はまともなので音像一貫性でかなり優れている点は救いでしょうか。低域の影響もあり、全体的に暗く鈍重に聞こえる雰囲気があります。
高域
QKZ x HBB Khanの中でもっともまともな音域です。
低域とのバランスを考えて、精細感はかなり良好な水準に調整されており、全体的に暗くクランチ感も不足して音楽の中心部が埋没してわかりにくい構造になっているにもかかわらず、ディテールに不足感は出ません。
歯擦音は少し強めに調整されていますが、低域が押さえ込んでいるため、高域に敏感な人でもきついと感じることはないでしょう。
拡張性は標準より少し少ない程度ですが、全体的に暗く発色が悪く聞こえるので、ハイハットは存在感が地味で存在感はかなり希薄です。
音質総評
- 原音忠実度:A+
- おすすめ度:B-
- 個人的な好み:C+
暗く重厚感のあるサウンドが好きなら、QKZ x HBB Khanは一考の価値くらいはあるかもしれませんが、同様のサウンドでこれよりはるかに優れたイヤホンは価格帯にかなり多くあり、あえてこれを選ぶ必要はほぼありません。
このイヤホンより優れている同じ価格付近の競合はKZ DQS以外にもFloAudio Callaをはじめ、比較的多数存在しています。これらから選ぶほうが良いでしょう。
音質的な特徴
美点
- 上品でシック
- 奥行き感のある音場
- 良好な原音忠実度
- 重厚な低域
- 耳当たりがやさしく、聴き心地が良い
- 価格以上の解像度
- 前方定位的
欠点
- 暗くてよく聞こえない中域
- 不自然な質感
- 音が丸すぎ、構築感に欠ける
- 色づきが悪い
- 重みのわりに臨場感に欠ける低域
- 高域の拡張性が少し不足している
- さらに詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
総評
QKZ x HBB Khanは暗く重厚なU字型のサウンドシグネチャーを持つイヤホンです。低域を豊かに聞かせてくれるイヤホンを探しているなら一考の価値はあるとは思いますが、これより優れた低域イヤホンが多数存在しているため、低域イヤホンの中でもあまり万人向きでなく、質が高いとも言えないこのイヤホンを選ぶ必要はほとんどないように思われます。