星々の輝き|中華イヤホン Moondrop(水月雨) Stellaris レビュー

Moondrop Stellaris

Moondrop Stellaris

 

audio-sound Score

  • パッケージ:8.5/10.0
  • ビルドクオリティ:9.5/10.0
  • 装着感:8.5/10.0
  • 高域:9.0/10.0
  • 中域:8.5/10.0
  • 低域:9.0/10.0
  • 歪みの少なさ:9.0/10.0

 

基本スペック

  • 周波数特性:10Hz-50kHz
  • インピーダンス:36Ω
  • 感度:117dB/Vrms
  • コネクタ:0.78mm 2pin

 

 

パッケージ

パッケージは価格帯の標準を満たしています。紙製で処分は簡単です。

 

パッケージ内容
  • イヤホン本体
  • イヤーピース(2種類)
  • キャリングケース
  • 説明書など

 

Moondrop Stellaris

 

ビルドクオリティ

ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。かなり美しい造形です。

 

Moondrop Stellaris

Moondrop Stellaris
Moondrop Stellaris
Moondrop Stellaris
Moondrop Stellaris

Moondrop Stellaris

Moondrop Stellaris

 

装着感

装着感は良好です。

 

Moondrop Stellaris

Moondrop Stellaris
Moondrop Stellaris
Moondrop Stellaris

 

音質

今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。

 

Moondrop Stellarisは拡散音場ニュートラルターゲットを意識した中域上部と中高域が強調された中域充実系のサウンドシグネチャーを持っています。

 

Moondrop Stellaris Frequency Response (RAW)

 

Moondrop Stellaris

 

低域

Moondrop Stellarisの低域は比較的リニアに深くまで伸びています。


私には若干明るいバランスですが、バスドラムキックは比較的インパクトがあり、力強く聞こえます。ただちょっと膨張感が弱く、太さに欠けるので、ボリューム感には欠けますね。エレキベースも黒さは悪くないものの、明るい雰囲気で若干軽い音に聞こえます。

 

存在感の上では中域より少し弱いくらいで中域を邪魔しない調整になっています。モニター的に感じる人も多いでしょう。

 

Moondrop Stellaris

 

中域

中域はあまりMoondropらしくない作りです。中域上部から中高域が強調されていて、前傾しており、だいぶ派手めに聞こえやすい音です。

 

ボーカルは艶の乗りが良いものの、ハスキーに聞こえがちですし、質感再現度と透明度は平凡で中域で立体感があまり感じられず、ドライでみずみずしさにも欠けます。

 

何より、高域に比べて明瞭感が大幅に不足しているので、フォーカスが高域に外れやすく、音楽のキラキラ、ガシャガシャしたあたりにフォーカスされて聞こえやすくなっています。そのため、華やかさは非常によく感じられるものの、全体的にうるさく薄っぺらい音になっています。

 

この中域は本当にMoondropらしくないですね。もしかすると、今回は初めての平面駆動型ということもあり、いつものVDSFターゲットから逸脱して新しいスタイルの音を目指したのかもしれませんが……やりすぎていると思います。個人的にはうるさくて聞くに堪えませんが、派手な音が好みなら、この中域は気に入るかもしれません。実際THDは非常に低く、クリーンです。

 

Moondrop Stellaris

 

高域

高域は原音忠実性を意識して丁寧に調整されており、拡張性の上でもわりとのびやかです。

 

ただ中域に対して目立ちすぎて聞こえやすいところがあり、輝度が少し高すぎ、よく言えばキラキラ、悪く言えば妙にカリカリ、ガシャガシャしたうるさい音になりがちです。

 

全体のバランスの中で高域だけが浮き上がって聞こえやすく、トレブルヘッド(高域好き)には喜ばれるかもしれませんが、一般に中域を重視する上級のオーディオマニアにはあんまり訴求力がないでしょう。

 

Moondrop Stellaris

 

音質総評
  • 原音忠実度:S-
  • おすすめ度:B+
  • 個人的な好み:B

 

オーディオスペックに優れ、全体的な原音忠実度もよいため、Moondrop Stellarisは価格帯では優れた部類に入る選択肢であることは間違いありません。しかし、従来のMoondropのVDSFターゲットモデルに多い、なめらかで中域を丁寧に聞かせる音を期待していると、Stellarisのサウンドに面食らうかもしれません。Stellarisはもっとキラキラしていて、その名の通り群星のようなサウンドです。

 

Stellarisのライバルとしては同じ価格帯に存在するLETSHUOER S12がまず挙げられます。S12はStellariasよりも正統派のニュートラサウンドで、より解像度も高く、全体的なサウンドパフォーマンスで圧倒しています。Sterallisのほうがよりクリーンで煌めき感があり、より原音忠実的であるという以外、ほぼあらゆる点でS12が勝ります。

 

少し高い価格帯にはRAPTGO HOOK-Xが存在しますが、Stellarisよりも正統派のスタジオチューニングが実現されており、おそらくStellarisよりはHOOK-Xのほうがオールラウンダーかつより滑らかなサウンドで万人向きです。

 

Stellarisは、従来のMoondropファンにとってもやや異端児のサウンドに属しています。伝統的なMoondropサウンドを好むファンには、これを買うよりはほぼ同じ価格帯で優れたパフォーマンスを実現し、伝統的なMoondropサウンドの現段階における一つの完成形を具現化しているMoondrop KATOがより推奨されます。

 

Moondrop Stellaris

 

音質的な特徴

美点
  • 派手で煌めき感のある高域
  • 優秀な原音忠実性
  • サウンドバランスが良い
  • 良好な質感
  • 良好な定位
  • 優れた制動特性
  • 優れた位相一貫性
  • 艶やか
  • 低歪
  • 十分に伸びやかな高域

 

欠点
  • VDSFターゲットニュートラルではない
  • 目立ちすぎる高域
  • 中域はもっと作りこめた
  • 深さとボリューム感で物足りない低域

 

  • さらに詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。

 

 

総評

Moondrop StellarisはMoondropらしい優秀なオーディオスペックとバランスの良いサウンドを兼ね備えたコストパフォーマンスに優れたモデルです。ただし、そのサウンドは煌めき感が強く、中域の質感再現度でライバルに比べると物足りないところがあり、抜群におすすめできるという機種ではありません。

 

Moondrop Stellaris

Moondrop Stellaris