audio-sound Score
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.0/10.0
- 中域:11.0/10.0
- 低域:10.0/10.0
- 歪みの少なさ:9.5/10.0
基本スペック
- 再生周波数:10-20000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:106±3dB
- ピンタイプ:0.78mm 2pin
パッケージ
パッケージは価格の標準を満たしています。シンプルで処分しやすいパッケージです。
パッケージ内容
- イヤホン本体
- イヤーチップ
- マニュアル類
ビルドクオリティ
ビルドクオリティは価格の標準を満たしています。
装着感
装着感は良好です。
音質
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
TinHiFi C3はかなりニュートラルに近いサウンドシグネチャーを持っています。
低域
TinHiFi C3の低域はかなり深くまでよく伸びており、なかなかの臨場感を実現できます。
ドラムキックはインパクトが十分にあり、重さも相当に感じられ、ランブルも満足できる水準です。
エレキベースも黒く、しっかりとした広がりを持って聞こえます。
存在感の上でも中域とよくバランスが取れていると言え、低域マニアにかなりおすすめできると言えるでしょう。
中域
中域はかなり完璧にニュートラルであり、質感表現においてこれ以上のイヤホンを探すのはかなり難しいでしょう。中域のサウンドバランスは完璧です。
さて、第一印象ではおそらくC3はT3 Plusの置き換えと思えるような機種です。基本的な傾向はT3 Plusと似たような方向性を持っており、歪特性の測定値などのデータを比較しても、ドライバーはおそらく同じようなものを使っています。
T3 Plusの価格を超えた水準の中域、すなわち完璧と言ってよい質感表現、高い透明度はC3でも実現されています。
T3 PlusとC3の大きな違いは中域よりも低域と高域にあり、TinHiFiはこの改善に取り組んだようです。低域の深さの向上、高域の精細感の上昇により、音楽全体はより引き締まり、柔らかな印象を与えていたT3 Plusの中域に対して、C3はより構築的で骨格のしっかりした正統派のモニターサウンドを提供できるようになりました。
T3 Plusよりはっきりとした活舌のボーカル、スネアやギターのキレの改善など、C3は全体的にスタイリッシュに聞こえるサウンドに仕上がっています。
一方で、中域自体の解像度は低下しました。したがって、より中域を重視する場合、C3よりはT3 Plusのほうがパフォーマンスが良く、豊かでメロウなサウンドを好む場合はT3 Plusが推奨されます。この点で両者は非常に似通っていながらも、どちらがどちらを上回るという単純な上下関係にはありません。
高域
すでに述べたように、C3の高域はT3 Plusから精細感が向上し、ディテールがよりはっきりと聞こえるように調整されました。これにより個々の音像がより引き締まって聞こえるようになり、楽器の分離感が向上しています。定位感も改善しました。
一般にモニター的で分析性のある音を好む場合はT3 PlusよりC3が推奨されます。C3がT3 Plusに劣っているのは高域の拡張性と解像度だけであり、音楽そのものの構造分析を重視する場合はC3が推奨されます。
一方で豊かな雰囲気で伸びやかな音楽を聴きたいというような鑑賞スタイルを好む場合、C3よりT3 Plusが好ましいでしょう。ダイナミズムではC3が勝るものの、スケール感はT3 Plusが勝ります。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:S+
- 個人的な好み:S+
TinHiFiの新しいCシリーズはこのブランドの新しい時代の幕開けです。非常に優れていたTinHiFi C2にも驚かされましたが、C3は名機T3 Plusで得られた知見をさらに発展させて一面では進化を遂げているといえるほど高い完成度を実現しています。
この価格帯の優れたニュートラルIEMとして文句なくお勧めできるでしょう。
音質的な特徴
美点
- 完璧な質感
- 良好な原音忠実度
- 重厚で深みのある低域
- 音像一貫性に優れる
- 価格以上の解像度
- 前方定位的
- みずみずしい
- 良好なサウンドバランス
欠点
- 高域の拡張性に欠ける
- 爽快感に欠ける
- ディテール感は場合によってわずかに物足りない
- T3 Plusより解像度が低い
- さらに詳しいレビュー内容はこちらを参照して下さい。
総評
TinHiFi C3はTinHiFiが生み出した新たなニュートラルサウンドシグネチャーIEMです。名機T3 Plusの面影を継承しつつも、よりディテール感のあるサウンドを実現しています。